キッズカートというかわいらしい名前が付いていたとしても、レース用のカートであることに違いはありません。少しの違い、1mm以下の調節の違いで結果が大きく変わってくる部分もあります。
EC04 ロビンエンジン
排気量は40cc。たった40ccのエンジンですが、約37kgの車体(エンジン含む)にドライバーの体重28kg、ヘルメットなどの装備品約3kg。合計67kgの超軽量の乗り物を時速50km以上に加速させることのできるエンジンです。体感は時速100km以上に達します。
たった少し違いが具合を左右するのは言うまでもない…
基本的にイコールコンディションではあるものの個体差が大きく、当たり外れがあるのもこのエンジン。富士ロビンやスバルで製造されていたEC04というエンジンです。
ロビンというのは当初作っていたメーカーで現在は愛称のようなものになっていて、直近ではスバルが製造していたエンジンです。いまだにロビンエンジンで検索ヒットするのですから広く知られているということが窺い知れます。
と知ったような気でおりましたが、先日やってしまいました💦
エンジンブロー
エンジンブローまでの経緯
7月に入って気温、湿度が上がるにつれエンジンの調子が上がらない。エンストや吹けない、回らない、タイムも出ないという状況が続いていました。分解して掃除、丁寧な組み直しをしてもなかなか改善しない。
ロビンエンジンの性能を大きく左右するCDI(イグニッションコイル)の取付位置は0.2mmが最適とのこと。でも真円に回転するわけではないので間違えると擦ります。どこで0.2mmに合わせるかというのも重要。サーキットの方に架空の5,000円で譲って頂いたシックスネスゲージを使って丁寧に組みます。
プラグを変えても偽物をネットでつかまされこれまた吹けないし改善もしない。数少ない調整部分として、メインジェットの交換があり、67.5→65へ交換し燃料を絞ることに。
すると、調子が良くなっていき8月~9月2週目までは良い調子でした。
一方、燃料を絞るということは、エンジンブローのリスクが高まります。自動調整なんてついてませんから、間違えたらいけません。簡単にはわかってはいるのです。頭では。一応整備士の勉強してましたから(笑)シャシダイでの燃調セッティングも経験済みです。でも、実践できるかどうかというのと、極端な状況下での判断は全くのド素人な私です。対応なんてできるわけもなく、なるべくしてなった感じです。
ブローした日も、朝の多少湿気のある時は良かったんです。でもちょうど昼になり気温が上がり9月中旬ということもあって湿度は抑えられていたのか、そのタイミングでの走行中に「ボンッ」という鈍いととともに急停止。
カートではチェーン外れなどのトラブルで止まることはよくありますが、今回は明らかにやばそう。ドライバー本人も「エンジンはダメだと思う」と即答するほどの異常ぶり。リコイルスターターも全く引けず、エンジンダメ(ブロー)だなと即わかる状況。
エンジンブローの原因
本当に微妙な違いだったんだと思いますが、完全にメインジェットの選択ミスです。朝と昼とではコンディションが違っていて67.5に戻さなければならない状況に変わっていたのです。
ブローしたセッションでは絶好調でベストタイムが出ていたので最後の咆哮と言ったところでしょう。サーキットの方々も言ってました。
「調子のよいときほど気を付けろ」
「壊れる前は異常に調子が良いもんだ」
まさに!
エンジンのダメージ
幸い腰下は無事との事でピストン、ピストンピン、ピストンリング、コンロッド、シリンダーの交換だけで済むだろうとの事。
ただ、オーバーホールになるため、エンジンの慣らしや育てが必要に。次のレースまでに9割くらいのところまで行ければいいのですが、育てるのがEC04とも言われているエンジンです。走って走ってようやく良いところに行くエンジンなので、次のレースで0.5秒落ち位までは覚悟しなければならないかもしれません。
40ccエンジンで良かった
ステップアップをすると60ccや100ccとエンジンも大きく、少し複雑になるようです。部品点数も増え修理コストも上がっていきます。最下層カテゴリーでやらかしておいてよかったなと前向きに捉えておきたいと思います😓
しかしレースや競技は一人ではできないなと改めて感じました。ドライバー、メカ、その他サポート部隊があってようやく1チームに。ドライバーはドライビングに専念し、メカはメカに専念。サポートはドライバーや陣地(テントなど)の身の回りの事をやっていく感じです。
幸い、フレンドリーな環境なのでサーキットの方も走りに親御さんも色々相談に乗ってくれたり、キッズドライバー教えてくれたりします。先に失敗してくれていたりも😅
大きな教訓
ドライバーにとってはスピンした、クラッシュや接触をした、抜かれたというのは挽回できることですが、メカや裏方には成功は無くて、失敗を絶対にしてはいけないということも良くわかりました。もちろん、ブローさせたことで気を付けられるようになるし、カートを続けていけば今後も起こり得ることでしょう。ただ、失敗したら負け。メカの失敗はマイナスでしかなく挽回ができません。
メカニックとしての成功というのは、今回で言うとエンジンブロー直前の絶好調な状態にマシンを持っていきそれを維持すること。これが安全に維持するということになると、いくらかマージンを取る必要があり、最高のパフォーマンスからは少し離れてしまいます。
適切な妥協と状況判断
この塩梅が勝敗をも分けうるポイントなんだなということが今回の大きな教訓だと思います。
ルールの中で競い合うのが楽しい
車は壊してナンボ…なんて思っていましたが、自分で運転するわけではない場合、こんな甘いことではいけないなと思いました。が、壊して落ち込んでいたらレースや競技、車遊びなんてできません(笑)
でも失敗をも楽しんでしまったら下位チームになってしまうのも事実。緊張感をもって上位争いができるように気を引き締めつつ、楽しんでいきたいと思います😝