エスカレードの助手席にある破れをリペアしました。
既に他社によるリペアの痕跡があり、裂け目にはカチコチの接着が施されています。これはこれで、裂け目が広がらないメリットがありますが、柔軟性のあるリペア材との相性は良くありません。
その他無数の切れ目があり、いくつか同じように接着されていました。

パンチングは通気性が良いメリットはありますが、一度裂けてしまうと修理はできません。穴があるだけに、引っかけてしまって裂けるケースも多いので取り扱いには注意したいシートです。
綺麗なエスカレード
外観はとても状態が良く、テールランプはカスタムポイントとのことです。

Before → After




穴をあけてほしいというオーダーも頂きましたが、穴はあけられませんでした。
穴あけにチャレンジはしましたが、硬くなった接着剤部分が柔らかいリペア材と合わず穴あけ作業中に裂けてしまいます。何度か同じことがあったので埋め戻し穴はあけれられないとお伝えしご納品。状況説明をさせて頂き、ご理解も頂けました。
リペア前は固くなった部分が当たり違和感がありましたので、穴があけられない分、使い心地にはこだわり乗り降り時の引っ掛かりや極端に硬く感じる部分なく仕上げました。
その他、無数にある裂け目には塗料を流し込み露出部を減らし、劣化の抑制を図っています。
穴のないレザーリペアは話が変わる
サイドサポート(ボルスター)部のように穴のない革部分の破れのリペアであれば、施工範囲を広く取れるため強度もあり、目立たなく仕上がる可能性が高まります。
パンチングレザーリペア
ほとんどのケースでお話ししていることですが、パンチングレザーの破れ・裂けのリペアでは基本的に穴あけはおススメしておりません。
しかし、たとえ色が99%合っていたとしても穴を空けないとリペア個所はまるわかりになってしまいます。それでも穴あけをおススメしないのはリペア材はあくまで異物なので強度低下の原因となるためです。
また、ほとんどのケースで革自体の変形が起こっています。さらに、施工範囲が限られるためリペア材(パテ)を使って面出し(オリジナルの革と平滑にすること)が出来ず、元々の変形が残ってしまうことも多くあります。リペア材にも厚盛の限度があります。

他にも穴あけをおススメしない理由があります。今回は20cm×3cmほどの範囲になりますが、ここに1mm程度の穴をいくつ空ければ良いでしょうか?数百個とは言いませんが、200個ほど開けることになるのではないでしょうか。
この労力も費用に含めますので軽く1万~増額になります。一度に穴を空ける装置はありません。下が柔らかいのでポンチも使えません。ルーターで一つづつ柔らかい素材に穴を空けていくことになります。リペア個所により深さも違うので1個ずつ慎重にやらなければなりません。さらに角が立つのでそのリカバリーも必要になります。
一言でまとめると「面倒くさい」
ということです(笑)
さらに「見た目が劇的に良くなるわけではない」
ので、「労力が報われることもない」
というわかりやすい理由があります😂
パンチングレザーは保湿が重要
パンチングレザーは裂けたり破れた時点で負けだと思って下さい。
レザー全般に言えることですが「メンテナンスが重要です」。
穴が開いている分、革は乾燥しやすいのでレザークリームなどを定期的に塗り込むことで革が保湿され適度な柔軟性と滑り性が出るので痛みにくくなります。
面倒でもパンチングに限らず、本革シートは手入れが必要です。
リペアをされた部分には市販品が合わないこともあるのでご注意ください。
