の続きです。
もう一つの難題が…

ここだけのリペアであれば施工対象外コースです。縫い付けてある糸からちぎれてしまって分断されています。縫い直しもできません。このようなちぎれ方をするのは合皮の特徴です。
本革シートの場合は革は切れず先に糸がほつれるか、糸の穴から切れるくらいでこういった症状になる可能性は極めて低いと思います。

FRPのシートを張り合わせていく要領で何枚かのリペアシートを溶着させています。指で押さなければ見えない部分は裂けたままです。
糸のつなぎ目を潰す、破れた部分を残すことの2点を妥協しています。

細かいことは気にせず、しっかりくっつけることを優先しています。
上部は指で押してるので見えるだけで普段は隠れてしまいます。その部分については切れたままです。道具も材料も入れられないので仕方がありません。こういった理由もあり施工(保証)対象外になります。
今回はそのままにしてありますが、こういった困難なケースではゴミや異物混入を防ぐためにウレタン等を詰めておくのもありかと思いました。
今回のケース合皮と本革リペアの違い
合皮
人工皮革ともいわれますが、人工的なものなので熱で溶けます。それを利用してリペアシートも埋め込めるので強度はバッチリです。この方法をとる場合はシボ(模様)が消えます。シボは塗装によって再現しますが広範囲に渡る場合、デザインによってはごまかし切れません。
本革
動物の皮ですので自然のものです。素材として強度がありこうなることはほとんどないと思われます。しかし、繰り返し擦れることで穴は空きますが、周囲はケバケバになるくらいで擦れない部分まで破れることはありません。
穴をふさぐときは同じリペアシートと素材に合わせて2種類の硬さのあるリペア材(写真でいう青い部分)を熱で密着させます。
いずれにしても、症状が出て放置せず早めに対処することでより目立たなく、より早く、より安く(?)リペアが可能です。